顔面神経痛と呼ばれる症状について、三叉神経痛・顔面けいれん・顔面神経麻痺の違い、初期症状、原因、治療法、受診すべき診療科を解説します。顔のゆがみなど緊急性のある症状にも注意が必要です。
顔面神経痛とは?顔が痛む原因と病院へ行く目安
「顔の片側に電気が走るような痛みが出る」
「歯磨きや洗顔をすると頬が痛い」
「まぶたや口元がピクピクする」
このような症状を調べる際に「顔面神経痛」という言葉が使われることがあります。
ただし、顔の痛みには、三叉神経痛、歯や顎の病気、帯状疱疹など、さまざまな原因があります。また、顔が動かしにくくなる顔面神経麻痺や、勝手に筋肉が動く顔面けいれんは、顔の痛みとは別の状態です。
顔の症状は見た目だけで原因を判断できないため、強く揉んだり押したりする前に、症状の現れ方を確認することが大切です。
この記事では、一般に顔面神経痛と呼ばれる症状の特徴や原因、受診する診療科、医療機関で行われる治療について解説します。
1、顔面神経痛とはどのような症状?
「顔面神経痛」は日常的に使われる表現ですが、痛み、けいれん、麻痺では関係する神経や治療方法が異なります。
1:顔の鋭い痛みは三叉神経痛の可能性がある
顔の感覚を脳へ伝えているのは、主に三叉神経です。
三叉神経は、額や目の周辺、頬や上顎、下顎の3方向へ枝分かれしています。この神経が刺激されると、顔の片側に電気が走るような強い痛みが現れることがあります。
一般に「顔面神経痛」と呼ばれている症状のなかには、この三叉神経痛が含まれています。
一方、顔面神経は主に表情筋を動かす神経です。そのため、顔の感覚を伝える三叉神経とは役割が異なります。
2:顔面けいれんは筋肉が勝手に動く状態
片側顔面けいれんでは、自分の意思とは関係なく、片側のまぶたや口元などがピクピク動きます。
初めは目の周囲に現れ、徐々に頬や口元へ広がることがあります。疲れたときに一時的にまぶたが動く状態とは異なり、繰り返し続くのが特徴です。
三叉神経痛は「痛み」、顔面けいれんは「筋肉の動き」が中心になります。ただし、両方とも神経の近くにある血管が関係している場合があり、脳神経外科で検査や治療が行われます。
3:顔面神経麻痺は顔が動かしにくくなる
顔面神経麻痺では、片側の顔が動かしにくくなります。
- 口角が下がる
- 飲み物が口からこぼれる
- 額にしわを寄せにくい
- まぶたを完全に閉じられない
- 味を感じにくい
- 音が響いて聞こえる
このような症状が代表的です。
顔面神経麻痺には、ベル麻痺や帯状疱疹ウイルスが関係するハント症候群などがあります。顔面神経麻痺は早期治療が重要とされているため、痛みがなくても顔を動かしにくい場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。東京科学大学病院
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2、三叉神経痛の特徴と考えられる原因
顔の痛みがすべて三叉神経痛というわけではありません。痛みの長さや誘発される動作を確認することが重要です。
1:数秒程度の電撃痛が繰り返し現れる
典型的な三叉神経痛では、顔の片側に、刺される、電気が走る、焼けるような強い痛みが突然現れます。
一回の痛みは比較的短く、数秒から数十秒ほどで軽くなることが多いものの、同じ動作によって繰り返し誘発される場合があります。
痛みが起こりやすい動作には、次のようなものがあります。
- 歯を磨く
- 顔を洗う
- 食べ物を噛む
- 会話をする
- 化粧やひげ剃りをする
- 顔に冷たい風が当たる
- 特定の場所へ触れる
このような刺激によって起こる短い電撃痛は、三叉神経痛の特徴として知られています。日本医科大学付属病院
2:血管による神経の圧迫が原因になる
典型的な三叉神経痛では、脳幹の近くで血管が三叉神経に接触し、神経を刺激している場合があります。
ただし、MRIで血管が神経に触れているように見えても、必ず症状の原因とは限りません。痛みの特徴、神経学的な診察、画像検査を組み合わせて判断されます。
まれに、脳腫瘍、多発性硬化症、血管の異常などが関係する二次性三叉神経痛もあります。
顔の感覚が鈍い、両側に症状がある、比較的若い年齢で発症した、聴力や視力にも変化がある場合は、詳しい検査が必要です。
3:歯や顎、帯状疱疹による痛みとの違い
虫歯や歯周病、歯の根の炎症でも、頬や顎に強い痛みが現れます。噛んだときに特定の歯が痛い、冷たいものや熱いものがしみる場合は、歯科的な原因も考えられます。
顎を動かしたときの痛みや音、口の開けにくさがある場合は、顎関節や咀嚼筋が関係している可能性があります。
また、顔や耳の周囲にピリピリした痛みが現れ、その後に赤い発疹や水疱が出た場合は、帯状疱疹も疑われます。耳の痛み、発疹、難聴、めまい、顔面麻痺を伴う場合は、ハント症候群の可能性があるため、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
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3、顔の症状を確認するセルフチェック
1:場所・長さ・きっかけを記録する
痛みが現れたら、次の項目を記録します。
- 右側と左側のどちらか
- 額、目の周囲、頬、上顎、下顎のどこか
- 一回の痛みが何秒、何分続くか
- 一日に何回程度起こるか
- 歯磨きや食事などのきっかけがあるか
- 痛みのない時間があるか
- しびれや感覚低下を伴うか
「ズキズキ」「ビリッ」「締めつける」など、痛みの感じ方も記録しておくと診察の参考になります。
痛む場所を何度も強く押して再現する必要はありません。
2:痛み以外の症状を確認する
顔の痛みだけでなく、次の症状がないか確認しましょう。
- まぶたや口元が勝手に動く
- 口角が下がっている
- まぶたを完全に閉じられない
- 飲食物が口からこぼれる
- 耳の痛みや発疹がある
- 難聴、耳鳴り、めまいを伴う
- 顔の感覚が鈍い
- 発熱や強い頭痛がある
まぶたを閉じられない場合は、角膜が乾燥して傷つく可能性があります。自己判断で顔の運動を繰り返さず、その日のうちに耳鼻咽喉科や眼科へ相談してください。
3:顔のゆがみと手足・言葉の異常は救急要請
顔の片側が急に動かなくなった場合は、顔面神経麻痺だけでなく脳卒中の可能性も考える必要があります。
笑ったときに片側の口角が下がる症状に加えて、次のような変化がある場合は緊急です。
- 片腕を上げられない、または下がってくる
- 片側の手足に力が入らない
- ろれつが回らない
- 言葉が出ない、理解できない
- 突然の激しい頭痛がある
- 意識がぼんやりしている
症状が一度軽くなっても、様子を見ずに119番へ連絡してください。脳卒中では、顔・腕・言葉の異常を確認して速やかに救急要請することが重要です。脳卒中のFASTに関する医療機関の解説
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4、顔面神経痛の検査と治療
1:問診やMRIなどで原因を調べる
診察では、痛む場所、持続時間、きっかけ、顔の感覚などを確認します。
必要に応じてMRI検査を行い、三叉神経と血管の位置関係、腫瘍やそのほかの病変がないかを調べます。
歯や顎の痛みと区別しにくい場合は、歯科や歯科口腔外科での検査も必要です。
痛みの場所だけを頼りに、原因が確認されないまま抜歯などの元に戻せない処置を受けることは避けましょう。電撃痛や洗顔で誘発される痛みがある場合は、その特徴を歯科医師にも伝えてください。
2:薬による治療が基本になる
三叉神経痛では、カルバマゼピンなど、神経の過剰な興奮を抑える薬が使用されます。一般的な市販の鎮痛薬では、十分な効果が得られないこともあります。
カルバマゼピンには眠気、ふらつき、薬疹、肝機能への影響などが起こる可能性があるため、医師の診察と処方が必要です。
薬の効果が不十分な場合や副作用で継続できない場合には、神経を圧迫している血管を移動させる微小血管減圧術や、放射線治療などが検討されます。東京科学大学病院
3:自宅では強い刺激を避ける
受診までの間は、痛む場所を強く揉む、押す、ローラーで刺激するといった行為を避けましょう。
痛みを誘発する動作がわかっている場合は、次のように工夫します。
- 冷たい風を直接顔へ当てない
- 水温を調整して洗顔する
- 柔らかく食べやすいものを選ぶ
- 痛みの少ない側を使ってゆっくり噛む
- 歯磨きは無理のない範囲で優しく行う
- 症状が出る時間や回数を記録する
セルフケアは一時的に刺激を避けるためのものであり、神経の圧迫や病気そのものを治す方法ではありません。
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5、顔面神経痛に関するよくある疑問
1:顔面神経痛は何科を受診する?
電気が走るような短い顔面痛は、脳神経内科または脳神経外科へ相談します。
症状によっては、次の診療科が適しています。
- 歯や歯茎の痛み:歯科・歯科口腔外科
- 顔が動かない、耳の発疹や痛み:耳鼻咽喉科
- 目を閉じられない、目の痛み:眼科
- 顔に帯状の発疹や水疱がある:皮膚科
- 強い痛みが続く:ペインクリニック
- 手足や言葉にも異常がある:救急要請
どこへ行くべきかわからない場合は、脳神経内科や脳神経外科を受診し、必要な診療科へつないでもらいましょう。
2:顔面神経痛は自然に治る?
三叉神経痛では、しばらく痛みが現れない時期があっても、再び症状が出ることがあります。
一時的に軽くなったことだけで、治ったと判断するのは難しいでしょう。食事や歯磨きができないほどの痛みがある場合や、繰り返し再発する場合は早めに受診してください。
顔面神経麻痺についても自然回復を待つのではなく、早期治療が必要です。特に耳の発疹や強い痛み、難聴、めまいを伴う場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
3:整体や鍼だけで治療できる?
三叉神経痛では、まず医療機関で原因を調べ、薬や手術などの適応を判断することが基本です。
顔や首を強く押したり、骨格を整えたりすることで、神経を圧迫している血管や腫瘍を治療することはできません。未診断の段階で、整体や鍼だけに頼って医療機関の受診が遅れないようにしましょう。
医師の診断を受けたうえで補助的なケアを希望する場合は、現在の治療内容を施術者へ伝え、主治医にも相談してください。顔に強い痛みや麻痺がある時期には、刺激の強い施術を避ける必要があります。
顔の痛みは、日常生活や食事、会話へ大きな影響を与えます。症状を我慢するのではなく、痛みの現れ方を記録し、適切な診療科へ相談することが改善への第一歩です。
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※本記事は一般的な健康情報を提供するもので、病気の診断や治療を目的としたものではありません。急な顔のゆがみ、手足の麻痺、言葉の異常がある場合は、直ちに119番へ連絡してください。
参考記事:
https://therapistplanet.co.jp/column/facial-neuralgia/









